
ペアローンの諸費用はいくら?単独ローンとの差額と登記費用・手数料の内訳相場
この記事の要点
- ペアローンは契約が2本。諸費用のうち「本数単位」でかかる費目(印紙税・定額型手数料・司法書士報酬など)だけが増える。
- 定率型の事務手数料(借入額×2.2%が代表的)や登録免許税は借入総額で決まるため、2本に割っても合計はほぼ変わらない。
- 条件次第で差は数万円に収まることも、数十万円に広がることもある。「倍かかる」と思い込んで避けるのも、「大差ない」と確認せず組むのも、どちらも雑。
- 電子契約なら印紙税がかからない扱いが一般的。手数料タイプの選択と司法書士報酬の見積比較で、差額はさらに詰められる。
- 増えた諸費用と、夫婦二人分の住宅ローン控除の効果を同じ机に並べて比べる。判断はそこで決まる。
「ペアローンは諸費用が倍」は半分誤解だ。倍になるのは、契約の本数単位でかかる費目だけ。
「ペアローンは諸費用が2倍」は半分誤解。まず全体の内訳から
ペアローンを検討すると必ず出てくるのが「契約が2本になるから諸費用も2倍」という話。結論から言うと、これは半分誤解だ。住宅購入の諸費用は「借入額に比例する費目」と「契約の本数単位でかかる費目」に分かれる。2本にして増えるのは後者だけ。ここを分けずに総額のイメージだけで判断すると、選択を誤る。
そもそも住宅購入の諸費用は、新築で物件価格の3〜7%、中古で6〜9%程度が目安と言われる(仲介手数料の有無で変わる)。このうちローンに紐づく部分だけが、ペアローンにするかどうかで動く。まず全体を一枚で押さえる。
| 費目 | 目安(2026年時点) | ペアローンでどうなる |
|---|---|---|
| 事務手数料(定率型) | 借入額×2.2%(税込)が代表的 | 借入総額が同じなら合計はほぼ変わらない |
| 事務手数料(定額型) | 1本あたり3.3万〜33万円程度 | 2本分かかりやすい |
| 印紙税(書面契約) | 借入1,000万円超5,000万円以下で1通2万円、5,000万円超1億円以下で6万円 | 契約書が2通になり2通分。電子契約なら不要の扱いが一般的 |
| 登録免許税(抵当権設定) | 債権額×0.4%(住宅の軽減措置に該当すれば0.1%) | 債権額の合計で決まるため合計はほぼ変わらない |
| 司法書士報酬 | 抵当権設定1件あたり3〜10万円程度 | 設定登記が2件になり増えやすい(同時申請で調整されることも) |
| 保証料(保証料型の場合) | 借入額・期間による | 借入総額で決まる部分は変わりにくいが、事務取扱手数料が本数単位の場合あり |
| 団信(上乗せ特約) | がん団信等で金利+0.05〜0.3%程度 | 特約を付ければ二人分金利に乗る |
数字はいずれも一般的な目安で、金融機関・商品によって幅がある。見るべきポイントは一つ。その費目は「借入額比例」か「本数単位」か。この目で見積書を読めば、ペアローンで増える金額は自分で概算できる。
※一般的な目安です。金融機関・商品により扱いが異なります。最新の税率・手数料は必ず個別にご確認ください。
費目別に見る。増えるのは「本数単位」の費目だけ
差額の正体を費目ごとに潰していく。
事務手数料:定率型なら差はほぼゼロ、定額型なら2本分
ネット銀行を中心に多い定率型(借入額×2.2%が代表的)は、5,000万円を1本で借りても2,500万円×2本で借りても、合計はほぼ同じになる。一方、定額型(1本あたり3.3万〜33万円など)を採る金融機関では、素直に2本分かかりやすい。同じ銀行でも定率型と定額型を選べる場合、定額型は金利が上乗せされる設計が多い。手数料単体でなく総支払額で比較すること。
印紙税:書面契約なら2通分。電子契約という抜け道がある
金銭消費貸借契約書に貼る印紙は、借入1,000万円超5,000万円以下で1通2万円、5,000万円超1億円以下で1通6万円(2026年時点)。ペアローンは契約書が2通になるので、書面契約ならこれが2通分。ただし借入額も2本に割れるため、たとえば夫婦で2,500万円ずつなら2万円×2通=4万円で、単独5,000万円の2万円との差は2万円。逆に単独で6,000万円借りると1通6万円なので、3,000万円×2本(2万円×2通)のほうが安くなる逆転すらある。さらに電子契約を選べば印紙税はかからない扱いが一般的だ(代わりに電子契約手数料を取る金融機関もある)。
団信:保険料そのものより「上乗せ特約×2人」を見る
団信の基本保障は金利込みの商品が多く、これ自体で諸費用が倍になるわけではない。効いてくるのは、がん団信や全疾病保障などの上乗せ特約を二人とも付けたとき。金利+0.1〜0.3%程度の上乗せが二人分の借入に乗るため、初期費用ではなく総返済額の差として現れる。「夫は手厚く、妻は基本のみ」のような非対称な設計も可能で、ここは世帯の保険全体と合わせて決める話になる。
登記費用の中身。2倍になりやすいのは税金ではなく報酬
「ペアローンは登記費用が2倍」という説明もよく見るが、これも中身を分けると正確になる。登記費用は登録免許税(税金)と司法書士報酬の合計だ。
抵当権設定の登録免許税は原則、債権額×0.4%(一定の住宅用家屋の軽減措置に該当すれば0.1%)。ペアローンでは夫と妻それぞれの借入に抵当権を設定するが、税額は債権額に対する比率で決まるため、2本に分けても合計はほぼ変わらない。5,000万円×0.4%も、2,500万円×0.4%×2本も、同じ20万円だ。
2倍に近づきやすいのは司法書士報酬のほう。抵当権設定登記が2件になるぶん、1件あたり3〜10万円程度の報酬が加算されやすい。ただし同一物件・同一決済での同時申請なら、2件目を割り引く事務所も少なくない。報酬は自由化されており事務所ごとに差が大きいので、提携司法書士の見積をそのまま受け取る前に内訳を確認し、必要なら相見積を取っていい。
なお、所有権の登記(保存・移転)は夫婦共有にすること自体で税額が変わるわけではない。持分割合をどう置くかは諸費用ではなく贈与税の論点で、出した資金と持分を揃えるのが基本線になる。詳しくは持分割合の決め方で整理している。
単独・収入合算・ペアローン、諸費用はこう違う
借り方3タイプを諸費用の観点だけで並べると、こうなる。
| 項目 | 単独ローン | 収入合算(連帯保証・連帯債務) | ペアローン |
|---|---|---|---|
| 契約の本数 | 1本 | 1本 | 2本 |
| 印紙税(書面契約) | 1通分 | 1通分 | 2通分(電子契約なら不要の扱いが一般的) |
| 定額型事務手数料 | 1本分 | 1本分 | 2本分 |
| 定率型事務手数料・登録免許税 | 借入総額で決まるため、3タイプで大差が出にくい | ||
| 司法書士報酬(抵当権設定) | 1件分 | 1件分 | 2件分(同時申請で調整の余地) |
| 住宅ローン控除 | 本人のみ | 連帯保証は本人のみ/連帯債務は二人分になり得る | 二人分になり得る |
諸費用の安さだけで選ぶなら収入合算(1本)が有利に見える。だが収入合算には団信が合算者に及ばない急所があり、控除も連帯保証型では一人分で終わる。諸費用は借り方選びの一要素であって、決定打ではない。3タイプの本質的な違いはペアローン・収入合算・連帯債務の比較記事で潰しているので、セットで読んでほしい。
節約できる費目、できない費目
差額を確認したら、次は詰められる場所を詰める。効く順に並べる。
- 電子契約を選ぶ。書面の印紙税(2通で最大12万円)がかからない扱いが一般的。電子契約手数料(1件1万円強など)を取る金融機関もあるので、差し引きで確認する。
- 手数料タイプを総支払額で選ぶ。定率型・定額型を選べる場合、定額型は金利上乗せとのセットが多い。「初期費用が安い方」ではなく、返済期間全体の総額で比較する。繰上返済や住み替えで早期に完済する可能性が高いなら、結論が変わることもある。
- 司法書士報酬の内訳を確認する。設定2件分の加算や日当・立会料の重複がないか見積を読み、大きければ相見積を取る。数万円単位で動く。
- 上乗せ団信は二人一律にしない。収入構成と既加入の保険を見て、必要な側にだけ厚くする。
一方、登録免許税や不動産取得税などの税金部分は、本数をどう組んでも原則削れない。ここを「値引き」しようとする営業トークがあれば、別の何かに乗っている。削れない費目を早めに固定費として受け入れ、削れる費目に交渉と比較の時間を集中するのが正しい配分だ。

増えた諸費用と控除、どちらが大きいかで決める
ここまでで、ペアローンの諸費用の増分は「本数単位の費目の合計」だと分かった。定率型×電子契約なら数万円、定額型手数料や特約次第では数十万円。では、その増分を払ってでもペアローンにする価値はあるか。
比べる相手は、夫婦二人分の住宅ローン控除だ。二人とも十分な所得税・住民税を納めている世帯では、控除枠が二人分立つ効果が諸費用の増分を上回るケースが多いと言われる。ただし借入額が一人分の控除上限に収まる程度なら、二本に割る意味は薄れ、増えた諸費用だけが残ることもある。控除の年数・限度額・対象住宅の要件は2026年時点の制度であり、改正で動くため、最新は国税庁の公式情報で確認してほしい。共働きの控除の組み方は住宅ローン控除2026年版に詳しい。
手順はシンプルだ。①見積書の費目を「借入額比例」と「本数単位」に仕分けて増分を出す。②夫婦それぞれの所得税額から控除の効果を概算する。③二つを並べて大きい方を取る。借入配分と持分の置き方で結果は変わるので、無料のペアローン診断で自分たちのケースの目安をつかんでから、金融機関と専門家に個別の数字を当てるのが早い。
※本記事の税率・手数料・控除の扱いは2026年時点の一般的な内容・目安です。最新は国税庁・法務局など公式情報や専門家へご確認ください。
ペアローンの諸費用、契約前に確認すること
- 見積書の費目を「借入額比例」と「本数単位」に仕分けし、増分を自分で概算する
- 事務手数料は定率型・定額型を金利上乗せ込みの総支払額で比較する
- 電子契約の可否と、電子契約手数料との差し引きを確認する
- 司法書士報酬の内訳(設定2件分・日当の重複)を確認し、必要なら相見積を取る
- 上乗せ団信を二人一律にせず、収入構成と既加入保険から設計する
- 増えた諸費用と二人分の控除効果を並べ、どちらが大きいかで借り方を決める
よくある質問
ペアローンの諸費用は、単独ローンよりいくら高くなりますか?
増えるのは印紙税・定額型事務手数料・司法書士報酬など契約の本数単位でかかる費目です。定率型手数料の金融機関で電子契約を使う場合、差は数万円程度に収まることもあります。一方、定額型手数料や本数単位の取扱手数料がある場合は数十万円単位で広がることもあります。金額は金融機関・借入額により異なるため、必ず見積で確認なさってください。
登記費用はペアローンだと2倍になりますか?
登録免許税(抵当権設定は原則、債権額×0.4%。住宅の軽減措置に該当すれば0.1%)は債権額の合計で決まるため、2本に分けても税額の合計は大きく変わらないのが一般的です。2倍になりやすいのは司法書士報酬の部分で、抵当権設定の件数が2件になるぶん加算されやすい一方、同一物件の同時申請では一定の調整がされることもあります。最新の税率は法務局・国税庁の公式情報でご確認ください。
ペアローンの諸費用を節約する方法はありますか?
一般に、電子契約を選べば紙の契約書に貼る印紙税がかからない扱いとなり(別途、電子契約手数料がかかる金融機関もあります)、定率型と定額型の事務手数料は総支払額で比較して選べます。司法書士報酬は見積の比較が可能です。一方、登録免許税などの税金部分は本数にかかわらず原則削れません。条件は金融機関ごとに異なるため、複数の見積で確認なさることをおすすめします。
諸費用が増えても、ペアローンを選ぶ意味はありますか?
夫婦それぞれが住宅ローン控除の対象になり得るため、二人とも十分な所得税・住民税を納めている世帯では、控除の効果が諸費用の増分を上回るケースが多いと言われています。ただし借入額・所得・入居時期により効果は変わり、制度も改正されます。最新の控除要件は国税庁の公式情報や専門家にご確認ください。
文・編集/世帯白書 編集部 ・ 監修:準備中(公開時に有資格者を明記します)