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わが家の純資産はいくら?家計バランスシートの作り方

この記事の要点

  • 家計のバランスシート(BS)は、ある一日を基準に資産と負債を並べ、差額の「純資産」を一枚で把握する表。家計簿が毎月の流れを見るのに対し、BSは積み上がった蓄えそのものを映す。
  • 作り方は4ステップ。資産を書き出す→負債を書き出す→金額を「今の価値」に揃える→「資産−負債」を出す。初回でも1〜2時間あれば形になる。
  • 金額は必ず「今売ったら/解約したらいくらか」=時価で統一する。買ったときの値段や額面ではなく、実態の数字を入れる。ここを外すと全部が嘘になる。
  • 純資産がプラスでも安心するのは早い。問われるのは資産が自宅に偏っていないか、現金で何か月暮らせるかという中身のほう。
  • 年1〜2回、同じ時期に更新すれば、純資産の増減がそのまま「わが家の通信簿」になる。
家計簿が毎月の流れを見るのに対し、BSは積み上がった蓄えそのものを映す。

そもそも「家計のバランスシート」とは

毎月の収支はなんとなく追えていても、「で、結局うちは今いくら持っていて、いくら借りているのか」と聞かれて即答できる人は少ない。預金は銀行ごとに散らばり、保険は別管理、住宅ローンの残高はうろ覚え、証券口座は半年開いていない——資産が散らばっているほど、全体像は霧の中に消える。漠然とした不安の正体は、たいていこの「見えなさ」だ。

バランスシート(貸借対照表、以下BS)は企業が決算で必ず作る書類だが、家計にもそのまま使える。やることは拍子抜けするほど単純で、ある一日を基準に、持っているもの(資産)と返すべきもの(負債)を一枚に並べ、その差額を出す。これだけ。差額のことを純資産と呼ぶ。

資産 − 負債 = 純資産

家計簿が「1か月でいくら入って、いくら出たか」という流れを撮るものなら、BSは「今この瞬間、どれだけ積み上がっているか」という蓄えを撮るもの。健康診断でいえば、家計簿が毎日の体重計、BSが年に一度のフルの身体測定にあたる。両方そろって、はじめて家計の体つきが立体的に見える。

積立の複利イメージ(元本と運用益の積み上がり)
評価額(万円)前提:毎月3万円・年4%で試算03006009001,20005101520積立年数(年)元本 720万円運用益込み 約1100万円元本(積み立てた額)運用益(複利で増えた分)

※年率4%はあくまで試算上の仮定です。運用成果は変動し、元本割れの可能性もあります。

作る前に決めておく3つのこと

いきなり書き出すと、毎回数えるたびに金額がぶれて比較できなくなる。先に次の3点だけ固定しておく。

1. 基準日を1日に固定する

BSは「ある一日の写真」だ。給料日の前と後では残高が大きく動く。だから「毎月末」「毎年1月1日」のように基準日を1つ決め、毎回そこに揃える。家族の口座やカードの締め日も、この日付で確認する。

2. 対象は「世帯」でまとめる

共働きなら、夫婦それぞれに口座・保険・証券があるのが普通。片方だけ見ても家計の実態は出てこない。名義が別でも、夫婦と子どもを含む世帯全体を一枚に合算する。名義ごとに分けるのは、後でいい。

3. 金額は「今の価値(時価)」で揃える

ここが一番大事で、ここを外すと残りが全部台無しになる。買ったときの値段(簿価)ではなく、今売ったら、今解約したら手元にいくら残るかで統一する。新築時3,000万円のマンションも、今の売却見込みが4,000万円なら4,000万円、2,500万円なら2,500万円で書く。額面で書くと、見かけの純資産が現実とずれていく。

ステップ1〜2:資産と負債を洗い出す

準備ができたら、「持っているもの」と「返すべきもの」を種類ごとに書き出す。下の表を「うちにもあるか?」のチェックリストとして上からなぞると、漏れにくい。

資産に入れるもの(代表例)

分類具体例金額の入れ方(時価)
現金・預金普通・定期預金、財布の現金残高そのまま
投資株式、投資信託、NISA・iDeCoの残高基準日の評価額
保険貯蓄型保険、学資保険解約返戻金の額(掛け捨ては0)
不動産自宅、投資用物件売却見込み額(時価)
その他車、貸しているお金など査定額・回収見込み額

ここで一番引っかかるのが保険だ。掛け捨ての保険は資産に入れない。万一への保障としては価値があっても、今解約して戻るお金はゼロなので、BS上の資産としては0円。一方の貯蓄型保険は、保険会社のマイページか証券で「解約返戻金」を確認し、その額を入れる。自宅の時価は、不動産ポータルで近い条件の売り出し価格をいくつか眺めるか、一括査定で当たりをつければ、まずは「だいたいの幅」で十分だ。

負債に入れるもの(代表例)

分類具体例金額の入れ方
住宅ローン自宅・物件のローン基準日の残高(返済予定表で確認)
その他ローン自動車ローン、教育ローン、奨学金残高
カード等未払いのカード、分割・リボ残高未払い残高

奨学金は「子の名義だから」と外しがちだが、世帯として返していくお金なら負債に入れていい。そして住宅ローンに入れるのは毎月の返済額ではなく残りの元本のほう。借入時に渡される返済予定表(償還表)か、金融機関のアプリで、基準日時点の残高を拾う。

ステップ3〜4:一枚にまとめて純資産を出す

洗い出せたら一枚に集約する。下のように左右(または上下)に分けると、企業のBSと同じ形になり、全体がひと目で入る。数字は記入例。

資産金額(万円)負債・純資産金額(万円)
現金・預金600住宅ローン残高3,800
投資(NISA等)500自動車ローン100
貯蓄型保険(返戻金)200奨学金残高100
自宅(時価)5,000負債合計4,000
車(査定額)150純資産2,450
資産合計6,450負債+純資産6,450

計算は資産合計6,450 − 負債合計4,000 = 純資産2,450。左の「資産合計」と右の「負債+純資産」は必ず一致する。これが「バランス」シートと呼ばれる理由だ。逆にいえば、ここが合わないなら足し忘れか二重計上がどこかにある。表計算ソフトに項目を並べ、合計だけ自動計算にしておけば、翌年は数字を入れ替えるだけで終わる。

出てきた数字の「読み方」

純資産が出たら、ここからが本番だ。額の大きさより、中身を見たほうがわが家のリスクはよく見える。次の3つで点検する。

視点1:純資産はプラスか、マイナスか

プラスなら、全部売って借金を返してもお金が残る状態。マイナス(債務超過)なら、住宅購入直後のような一時的なものか、それとも消費や借入が膨らんだ結果なのかを切り分ける。ローンを組んだ直後は負債が資産を上回って出やすく、返済が進むにつれてプラスへ転じていく——この順番なら心配いらない。

視点2:資産が自宅に偏っていないか

上の例の純資産2,450万円のうち、自宅の純額(時価5,000 − ローン3,800 = 1,200万円)が大きな塊を占めている。問題は、自宅は住み続ける限り一円も換金できないこと。純資産が立派でも、その大半が自宅なら、急な出費に回せる「動かせるお金」は驚くほど少ない。ここが、紙の上の安心と現実の差が出るところだ。

視点3:現金で何か月暮らせるか

収入が止まった月から、すぐ使える現金・預金だけで何か月の生活費をまかなえるか。目安として生活費の半年分程度を生活防衛資金とする考え方が広く知られている。投資や保険は価格変動や解約手続きの時間がからむので、この計算には入れない。数えるのは「今すぐ動かせるお金」だけだ。

家計の資産と負債を書き出す手元
家計の資産と負債を書き出す手元

続けるためのコツと、つまずきどころ

BSは一度作って満足するものではなく、定点観測してはじめて効いてくる。無理なく続けるための要点を置いておく。

  • 更新は年1〜2回で十分。毎月やる必要はない。年末年始や年度替わりなど、忘れない時期に固定すると勝手に習慣になる。
  • 細かさより一貫性。自宅の時価が多少ずれても、毎回同じ調べ方をしていれば「増えたか減ったか」は正しく追える。完璧を狙って三日坊主になるより、ざっくりでも続けるほうが何倍も価値がある。
  • 夫婦で一緒に開く。共働きほど、互いの資産・負債を知らないまま暮らしている。年に一度BSを開く30分が、家計の方針をすり合わせる場にもなる。
  • 純資産の「前年差」を必ずメモする。増えていれば前進、減っていれば原因(大きな出費か、収入減か)を点検する合図。額そのものより、この差分が通信簿だ。

手が止まる最大の原因は、時価の調べ方が分からないこと。自宅は不動産ポータルの類似物件、保険はマイページの解約返戻金、車は中古車査定の概算。それで先に進んでいい。最初から正確さを求めず、まず「だいたいの一枚」を完成させることを優先する。わが家のお金の全体像をもう少し体系立てて整理したいなら、現状を入力して傾向を見る無料診断から入るのも手だ。

本記事の制度や目安は2024〜2025年時点の一般的な内容。税の控除や保険・不動産の評価は個別事情で大きく変わり、改正もあるため、重要な判断の前に最新の公式情報やファイナンシャルプランナー・税理士など専門家にご確認を。

わが家のバランスシートを作る前のチェックリスト

  • 基準日を1日に固定する(毎月末・毎年1月1日など毎回同じ日に揃える)
  • 夫婦と子どもを含む世帯全体を一枚に合算する
  • 金額はすべて『今売ったら・解約したらいくらか』の時価で統一する
  • 掛け捨て保険は0円、貯蓄型保険は解約返戻金で資産に入れる
  • 住宅ローンは毎月返済額ではなく残りの元本(残高)を負債に入れる
  • 資産合計と『負債+純資産』が一致するか確認し、ずれたら足し忘れ・二重計上を点検する

よくある質問

家計のバランスシート(純資産)はどうやって計算するのですか?

一般に、預貯金や投資、自宅などの「資産」をすべて合計し、住宅ローンや教育ローンなどの「負債」の合計を差し引いた額が純資産です。資産は時価で見積もるのが基本とされ、自宅も実勢価格で評価すると実態に近づきます。

持ち家や生命保険、車も資産に含めるべきですか?

一般に、売却して現金化しうるものは資産として計上します。自宅は時価、生命保険は解約返戻金、車は中古市場価格で見積もる考え方が広く知られています。一方で住宅ローン残高は負債側に計上し、差額で実態を把握します。

純資産がマイナスでも問題ないのでしょうか?

住宅購入直後などはローン残高が時価を上回り、一時的に純資産がマイナスになることは珍しくないとされます。重要なのは時系列での推移で、返済や貯蓄により改善していく見通しが立つかどうかを継続的に確認することが大切とされています。

バランスシートはどのくらいの頻度で見直すとよいですか?

一般に、年に一度や賞与時など節目での更新が目安とされます。住宅購入、転職、教育費の大きな支出など家計の局面が変わる際にも見直すと、意思決定の判断材料になります。最適な頻度や評価方法は専門家に相談すると安心です。

本記事は一般的な情報提供であり、個別の法務・税務・投資・医療上の助言ではありません。税率・控除・限度額・助成などの制度は改正により変わります。最新かつ正確な情報は公式機関の発表や専門家へのご確認をお願いします。

文・編集/世帯白書 編集部 ・ 監修:準備中(公開時に有資格者を明記します)

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