
産休・育休中に住宅ローンは組める?収入が下がる時期の進め方
この記事の要点
- 育休中の住宅ローンは「組める」が、おすすめのタイミングではない。審査は「今いくら入っているか」を見るので、給付に切り替わって手取りが落ちた時期は不利になる。
- 勝負は金融機関選びで半分決まる。「復職前提」で審査する銀行と、現時点の収入しか見ない銀行に割れる。前者を狙い、復職を証明できる書類を先に押さえる。
- 共働きでペアローン・収入合算を使うなら、妻が育休中に申し込むのは悪手。借りられる額が縮むか、合算自体を断られる。妻の収入を使う設計なら妻の収入が戻ってから動く。
- 順番は「産休前に通す」「育休中に復職前提で通す」「復職後に通す」の3択。引き渡し希望日から逆算して、夫婦でどれを取るか先に決める。
- 審査基準は金融機関と年で変わる。本記事は2024〜2025年時点の一般的な内容。最新は各金融機関と専門家へ。
育休中は一番不利な時期。避けられるなら産休前か復職後に寄せる。
結論:組めるが、わざわざ一番不利な時期に申し込む理由はない
先に立場をはっきりさせます。産休・育休中でも住宅ローンは組めます。ただ、その時期に申し込むのは、自分から一番不利なカードを切りに行くようなもの。避けられるなら避けたほうがいい、というのが私の見立てです。
理由は単純です。住宅ローンの審査は「これから20年、30年と返し続けられるか」を見る。そして多くの銀行は、その判断材料として「今いくら入っているか」を重く見ます。育児休業給付に切り替わると手取りは平時より落ちる。その下がった数字を「現在の年収」として扱われると、それだけで借入可能額が削られます。
つまりこれは、あなたの属性が悪いという話ではありません。どの銀行に、どのタイミングで、どんな書類を持って行くかという、設計の問題です。設計を間違えなければ通る。間違えると、通る額でも通らなくなる。
※一般的な目安です。最新の制度・数値・個別事情は必ずご確認ください。
銀行は育休中の収入をどう見るか
育休中の申し込みで効いてくるのは、結局この3点です。
- どの年収を審査に使うか:育休前の通常時の年収か、それとも今もらっている給付ベースか。ここで天と地ほど変わる。
- 本当に復職するか:戻る見込みがあるか、戻った後にいくら稼ぐか。
- 勤続・雇用形態:在籍状況、正社員かどうか。ここは平時と同じ基本属性。
このうち、共働き世帯の合否を左右するのが一つ目と二つ目、要は「復職をどう扱ってくれるか」です。
「復職前提」を認める銀行を探しに行く
育休前の年収や復職後の見込み年収をベースに審査してくれる銀行があります。一方で、目の前の給付額しか見ない銀行もある。ここは方針が完全にバラバラで、一行で落ちても別の行ではあっさり通る、ということが普通に起きます。だから一行で「ダメでした」と諦めるのが一番もったいない。
復職前提で見てもらうには、口頭で「戻ります」と言うだけでは足りません。銀行は紙を求めます。具体的には、勤務先が出す復職予定の証明、在籍を示す書類、休業前の年収が分かる源泉徴収票。何が必要かは行ごとに違うので、申し込み前に「育休中なんですが、復職前提で見てもらえますか。その場合どの書類が要りますか」と直接聞く。これを最初にやるだけで段取りが変わります。
共働きの落とし穴:妻の収入を育休中に当て込むな
都心の物件価格だと、夫の単独収入では希望額に届かず、妻の収入を組み込む世帯が多い。代表的なのが、夫婦それぞれが債務者になるペアローンと、一方を主債務者にして他方の収入を足す収入合算です。
ここで一番やってはいけないのが、妻が育休中で収入が落ちている時期に、その妻の収入を当て込んで申し込むこと。妻の収入を審査に使う以上、合否も借入額も妻側のタイミングで決まります。給付ベースの数字で合算すれば、足せる額は想定より小さくなる。最悪、合算自体を断られる。妻の収入を戦力にしたいなら、妻の収入が戻ってから動く。これが鉄則です。
もう一点。ペアローンや連帯債務は、住宅ローン控除や団体信用生命保険(団信)の扱いが単独ローンと違います。たとえば夫婦どちらかに万一があったとき、団信で消えるのは誰の分の債務か。出産・育児という、家計も働き方も一番揺れる時期に組むなら、目先の審査だけでなく「どちらに、いくら背負わせるか」を将来の働き方と万一の備えまで含めて決めておく。制度の細部は改正で動くので、最新は公式情報や専門家へ。
夫婦の収入バランスや育休の時期しだいで、ペアローンと単独ローンのどちらが得かは正反対になります。無料のペアローン診断で、自分たちの場合の目安をつかんでおくと話が早い。
タイミングは3択。引き渡し日から逆算して選ぶ
出産と購入が重なるときの申し込みは、この3つで考えると整理が早い。
| タイミング | 利点 | 注意点 |
|---|---|---|
| 妊娠前・産休前(通常勤務中) | 収入が満額の状態で審査でき、合算も効く。一番素直に通る | 物件選びを急ぐと妥協が出る。育児後の生活費の変化を読みにくい |
| 育休中(復職前提) | 出産後の住環境を見てから動ける | 銀行の方針に振り回される。復職を証明する書類が前提 |
| 復職後 | 収入が戻った状態で審査でき、選択肢が一番広い | 引き渡しが後ろ倒しに。復職直後は勤続年数を突かれることも |
純粋に審査の通しやすさと借入額だけで言えば、おすすめは「産休前」か「復職後」。育休中はあえて選ぶ局面ではありません。それでも育休中に動くなら、それは「この物件を、この時期に、どうしても押さえたい」という明確な理由があるとき。優先するのが物件と時期なのか、審査の有利さと借入額なのか。この軸を夫婦で先に握っておくと、時間に追われても判断がブレません。
収入が下がる時期に進めるなら、これだけはやる
育休中、あるいは復職直後に動くと決めたなら、準備で差がつきます。最低限この4つ。
- 書類を先回りで揃える:源泉徴収票、在籍・復職予定の証明。何が要るかを申し込み前に銀行へ確認しておく。後出しで揃えると審査が止まる。
- 必ず複数行に当たる:復職前提の扱いは行ごとにバラバラ。一行に絞らず、復職前提を認める行を含めて2〜3行で可能性を探る。
- 返済額は「復職後」ではなく「今」を起点に:通る額と無理なく返せる額は別物。復職後の満額収入で限界まで借りると、育児期の支出増で詰む。下がった今の家計で回る額に抑える。
- 団信と控除を理解してから契約する:ペアローン・収入合算は保障と税制が単独と違う。誰に万一があると債務がどう残るか、控除は誰がいくら取れるか。ここを曖昧にしたまま判を押さない。

まとめ
産休・育休中の住宅ローンは、「組めるか組めないか」の話ではありません。どの銀行で、どのタイミングで、どんな書類を揃えて臨むかという設計の話です。育休中は一番不利な時期。避けられるなら産休前か復職後に寄せる。それでも育休中に動くなら、復職前提を認める銀行を選び、紙を揃えて複数行に当たる。これで道は開けます。
共働きで妻の収入を合算したいなら、妻が育休中のタイミングで当て込むのは避ける。妻の収入が戻ってから動く。出産と購入が重なるからこそ、目先の審査だけでなく復職後の働き方と家計の変化まで見据えて、夫婦で軸を決めてから動いてください。
なお、ここで触れた審査基準・税制・団信などの制度は、2024〜2025年時点の一般的な内容です。金融機関や年で変わり、個別の事情でも結論は変わります。最終的な判断は、各金融機関の最新情報と、税理士・ファイナンシャルプランナーなどの専門家にご確認ください。
収入が下がる時期に住宅ローンを進めるときの確認リスト
- 源泉徴収票・在籍・復職予定の証明など、必要書類を申し込み前に銀行へ確認して先回りで揃える
- 復職前提を認める行を含め、一行に絞らず2〜3行に事前審査を出して比較する
- 返済額は復職後の満額収入ではなく、下がった「今」の家計で回る額を起点に決める
- ペアローン・収入合算なら、団信と住宅ローン控除が誰にどう及ぶかを理解してから契約する
- 妻の収入を合算に使うなら、育休中に当て込まず収入が戻ってから動く
- 物件と時期を優先するのか、審査の有利さと借入額を優先するのか、軸を夫婦で先に握る
よくある質問
産休・育休中でも住宅ローンの審査は通りますか?
育休中の申し込みは、復職予定が明確であることや復職後の収入見込みが重視され、審査自体は可能なケースが一般的です。ただし金融機関ごとに取り扱いが大きく異なり、育休給付金は返済原資として見なされにくい傾向があります。最新の条件は各金融機関への確認をおすすめいたします。
審査では育休中の下がった収入で見られますか、それとも復職後の収入ですか?
一般に、源泉徴収票など前年の実績収入をもとに審査されることが多く、復職予定や復職後の収入見込みを補足資料として求められる場合があります。育休給付金そのものは収入に算入されないのが通例です。判断基準は金融機関により異なりますので、事前相談が安心です。
夫婦どちらの名義やペアローンで組むのが有利ですか?
単独・連帯債務・ペアローンのいずれが適するかは、収入バランスや住宅ローン控除の活用、将来の働き方によって変わります。育休中の側を主たる債務者にすると審査が慎重になる傾向があるため、安定収入のある側を軸に検討されるのが一般的です。詳細はFPや金融機関へご相談ください。
復職してから申し込むほうがよいのでしょうか?
復職後の実績があるほうが審査は通りやすい傾向にあるとされます。一方で物件のタイミングや金利動向との兼ね合いもあり、一概に後回しが最善とは限りません。育休中でも対応可能な金融機関は存在しますので、複数行に事前審査を出して比較検討されることをおすすめいたします。
文・編集/世帯白書 編集部 ・ 監修:準備中(公開時に有資格者を明記します)